今回は絶対に守ってほしい価格戦略のお話です。
値下げの罠:一度下げたら戻せない
値段は一度下げたら、値上げするのは簡単ではないですよね。
お客さんは、同じものなのに値段が上がったと感じて納得しません。
高めに設定してしまった場合は下げることができますが、低めに設定してしまうと上げるのは至難の業です。
そのため、お客さんから求められても、安易な値引きは絶対にしないことが重要です。
これはどんな商品でも言えます。
セール依存の悪循環
アパレルを例にすると分かりやすいと思います。
アパレル業界では、セール販売に依存することで、このような悪循環になっています。
- セールが常態化
- 消費者はセール時のみ購入する傾向が強まる
- 通常価格での購買意欲が低下、売上が減少
- 在庫リスクを考慮し、通常価格を高めに設定
- 本来はより安価で提供できる商品が、高価格化
- 高い通常価格により、セール以外の時期の売上が低迷
- 無駄な割引による低収益構造に陥る
この循環によって、アパレル企業の収益性と消費者満足度の両方が下がっています。
お客さんはセールで安く変えて嬉しいと言う声もありますが、そもそも元の値段がもっと安いならその方が嬉しいでしょうし、
企業側も割引をしなくても買うはずのお客さんにも割引をしてしまっていることになるので、利益はでないでしょう。
アパレルは何がヒットするかわからないため、たくさん市場に出してみないとわからないということもあるとは思います。
ただ、ピンポイントで買ってくれそうな人に特別オファーを出すといった施策は、やっていないとしたらぜひやっていただきたいです。
そのためには顧客データを取ってお客さんにリーチする方法が必要ですが、ゾゾタウンあたりはもうやっていそうですね。
そもそも、それくらいの施策はやっていなかったまずいです。
ライバル商品より高い値段に見合う商品を作ること
値決めするときに、あの会社の商品が1万円だからうちも1万円だ、と考えていないでしょうか?
もっと良くないのが、他社が1万円だからうちは9800円にしよう!なんてことをしていたら大変です。
価格競争で厳しい戦いになるでしょう。
その考え方だけは絶対にやめてほしいです。
新しく商売を始める人に、ライバル商品と比べてどんな特徴をだそうと思っていますか?と聞くと
「価格の安さです」とか「他よりも安くいいものを提供したい」と答えられる方がいますが、「何か安く仕入れられる特別なルートがあるのでしょうか?」
「それとも安く量産できる工場があるとか?」と聞いています。
「いえ、後発だから安くしないと売れないと思ったので…」と答えられますが、これが失敗する考え方です。
具体的には2つの理由で失敗します。
- 1からスタートして無策ではどんなに安くしても売れない
- 他の会社がさらに安くしてきたらこちらも値段を下げざる得なくなる
こんなふうにすぐに詰んでしまいます。
そうならないためには、
- 価格を下げる前にどうしたら大手の商品よりうちの商品が買ってもらえるか?
- 大手の商品の不満点はどこか?それをうちで上位互換品を作れないか?
- お客さんが本当に求めている機能はなにか?
- お客さんが実は不要と思っている機能削って同じ価格で販売できないか?
- 機能を削ることをネガティブではなくポジティブに言い換えられないか?
こんな発想が必要です。
機能を削ってプラスの価値を出した事例
最近だとラベルレスのペットボトル飲料がありますが、そもそもラベルが不要だった人は多かったと思います。
ゴミを捨てるときにいちいち剥がすのも面倒ですよね。
僕はコーラが大好きなのでコーラを良く買うのですが、コンビニもスーパーもコーラは全部ラベルレスでもいいくらいです。
このようにあえて機能を減らすことで、お客さんにとってメリットのある提案はできることがあります。
他社よりも高い値段で売る方法はこちらの記事が参考になると思います。
値引きをしながらキャッシュフローを楽にする賢い値引き戦略
どうしても値引きする必要がある場合は、お客さんにもリスクを取ってもらう方法があります。
例えば:
- 前払いなら10%オフにする
- サブスク型サービスなら、年間一括払いで割引を提供する
これらの方法は、お客さんにリスクを取ってもらう代わりに、その価値に見合う対価を値引きするというものです。
ネットフリックスなど、多くのサブスクリプションサービスで採用されている方法です。
前払いのメリット
- 年間分のキャッシュが先に入ってくるので資金繰りが楽になる
- 資金繰りの計算がしやすくなる
- キャッシュがあることで銀行からの融資を受けやすくなる
- 後払いによる支払い拒絶や倒産リスクが減る
先払いでキャッシュフローも楽になるし、お客さんも安く変えるからお互いにメリットがありますね。
まとめ
値段を下げるのは簡単ですが、価格の安さ武器に戦い続けることはできません。
後々経営が苦しくならないように価値を見出してから価格設定を行うようにしましょう。
安ければ売れるでしょ!という安易な考えでは、すぐに詰んでしまいます。
付加価値を作って対価をもらうことが事業ですので、もっと高単価で買ってもらうにするにはどうすればいいだろうか?という発想が大切です。
いい商品をもっとよく見せて高く売る!
そのときこそマーケティングの出番です。
一緒にいい商品を世の中に広めていきましょう!
1984年神奈川県足柄上郡生まれ。
大事なのは売上より利益です。脱・価格競争コンサルタントとして、できるだけ広告費を減らしながら売上を増やせる方法をお伝えしています。