直登さん!自社サイトのアクセス数を増やしたいんですけど、どうすればいいですか?
おや、ひなたくん。アクセス数を増やしたいのはわかるけど、ちょっと待ってね。そもそもなぜアクセスが欲しいの?
えっと…アクセスが増えれば、商品を知ってもらって、買ってもらえる数が増えるからですよね?
そうだね。でも、アクセスは多ければ多いほどいいわけじゃないんだ。
えっ?でも、たくさんの人が見てくれれば売上が上がるんじゃないですか?
(笑)そう単純じゃないんだよ。アクセスを増やすことに注力しすぎると、無駄なコンテンツを作ってしまうことがあるんだ。
無駄なコンテンツ?でも、コンテンツをたくさん作れば作るほど売上が上がりそうな気がします…
確かに売上は上がるかもしれないけど、コンテンツを作るのにもコストがかかるんだ。結果的に利益率が低くなってしまうんだよ。
そうなんですね。
ひなたくんが経営者なら売上と利益どっちが大事だと思う?
えーと、最終的に残る利益の方が大事ですかね。
でしょ?売上が100万円でも利益が1万円と売上が10万円でも利益が9万円だったどっちがいい?
売上100万は魅力的に聞こえますけど、100万円分もがんばったのに利益1万は嫌ですね。
だよね。99万円分の広告費を使って100万円稼ぐより、広告費は1万円で9万円の利益が残ったほうが嬉しいよね。
ほんと、そうですね。
あ、でもコンテンツマーケティング会社の人が「SEOは資産になります」って言ってましたよ?
(笑)ああ、よくあるセールストークだね。でも、それは必ずしも正しくないんだ。コンテンツにも賞味期限があるからね。
えっ?コンテンツに賞味期限?
そうだね。時間とともにコンテンツは古くなるんだ。ニーズも変わるし、競合サイトが次々と新しいコンテンツを作るから、放置していると段々とアクセスが減っていくんだよ。
だから賞味期限があるんですね。
そう。アクセスを増やすために作ったコンテンツがあるほど維持費が増えていくんだ。それが払えなければ、維持はできず段々とアクセスは減ってしまう。
なるほど…じゃあ、何が正解なんですか?
大切なのは、無駄なアクセスを減らすことだね。100万アクセスよりも、1万アクセスでも9000人が購入してくれるようなコンテンツに絞ることが大事なんだ。
話はわかりますけど、自分が100万アクセスのサイト運営者ならアクセス数を減らすのは怖いですよ。
そうだね。でも、大切なのはアクセスよりも利益だよね。
うーん、そうですね。築き上げたものを否定するようで簡単には受け入れられないです。
そうだね。今よりも3倍利益が増えるならどうだろ?それならアクセスが1/10に減っても利益が3倍になるならその方が嬉しくない?
それならそうだけど、3倍って可能なんですか?
可能だよ。実際アクセスを追い求めることをやめて、リピート顧客がリピートするまでの行動パターンを分析した結果、あるキーワードで検索することがわかったんだ。
あるキーワードですか?
そう。そのキーワードでどの競合サイトもコラムを作っていなくて、そのキーワードでコラムを作ったら、ものすごく新規のお客さんとリピーターが増えたんだよ。
そんな美味しいキーワードがあるんですね。
今まで大量のアクセスを稼ぐために使っていた無駄な費用をたった1つのコラムだけに絞るだけで集客ができるようになったからね。
お客さんを知ることでそんな施策も打てるんですね。
そうなんだよ。
でも、そんな美味しいキーワードを競合サイトが見つけられなかったのも不思議ですね。
それはね。ちゃんと顧客分析をしていない会社がまだまだ多いってことなんだよ。できているつもりになっている会社が9.9割じゃないかな。
そんなに多いですか?
そうだね。だから表面的にはレッドオーシャンでも、ちゃんとお客さんの特にロイヤリティが高いお客さんの分析をすることは穴場を見つける上で大切なんだ。
なるほど、お客さんのことを知ることが利益確保の近道ってことですね。
そうだね。逆に言えばお客さんの声を拾わない事業は衰退する。これはセオリーなんだ。
なんだか怖い話ですね。
最近の車業界の大きなトラブルを覚えているかい?
あ〜、あれですね。でも、あんな大きな会社でも起こるんですね…
そうなんだ。ニュースでは現場の声が経営に届いていなかったようだね。
そうだったみたいですね。あんなに大きな会社だから連携はバッチリなのかと思っていました。
実態は違ったみたいだね。その結果大きなトラブルになってしまったね。
現場の声が届いていないってことは、現場にいるお客さんの声も経営者に届いていないってことですかね。
その可能性も高いよね。そういう経営をしているとお客さんが求めていない訴求を入れた無駄な広告を垂れ流したり、車に無駄な機能を付けたりして売れないし、リセールも悪くなって余計に売れないってことが考えられるよね。
たしかにそうですね。車を買うお客さんはブランドイメージを長く引きずりますからね。
車は何十年も引きずるよね。僕も20年前の車メーカーのイメージを未だに引きずっているからね。
そんなにですか?(笑)
車を買うってことは多少なりとも自分がどう見られたいっていうものあるじゃない?だからいまだに昔のイメージを引きずっている人がいると思うと、大きな事件を起こしたメーカーは選べないよね。
そういう理由もあるんですね。そういう事例を聞くと余計に、お客さんの声と現場の声とお客さんの声を拾う経営が大事だなってことになりますね。
ひなたくんも今回の話がわかったみたいだね。
そうですね。お客さんの声を拾う経営をしないと利益だけじゃなくて大きなトラブルにも発展するってことがわかりました。
それもこれも世界に比べて日本での事業が儲かりにくくなったからだと思うんだ。
なんで儲かりにくくなったんですかね。
原材料が高騰してお客さんに利益を転嫁しにくいって言うのもあるけど、やっぱりお客さんの声を拾わないで、経営していることも大きな理由だと思うよ。だってお客さんを知らずにいい商品を作れないでしょ。車なんて改良を重ねる商品なのに、どこに向かって改良を重ねていいかわからないよね。
たしかにそうですね。
でもね。お客さんの声を拾うって言ったけど、ひとつだけ注意することがあるんだよ。
なんですか?
お客さんは嘘をつくんだ。欲しいですか?って聞くと欲しいって言うんだ。
嘘ですか?
そう。お客さんに、こういう商品があったら欲しいですか?ってアンケートを聞くと大抵の場合は「欲しい」って言うんだ。
それ聞いたことあります。
実際、お客さんの声を参考に商品化したのに、売りだしたら誰も買わないってことはあるからね。
なるほど、本当に買うかはまた別の話ってことなんですね。
だから、そのために嘘をつかれないようなアンケートや間違った誘導をしないように公平なアンケートを取ることもマーケターの仕事なんだよ。
お客さんことを知る方法って奥が深くて見えずらいですね。対面の商売ならわかりやすいけど、オンラインの商売ってお客さんの顔も見えないから理解って言われても難しいですね。
そうだね。でも、諦めたらそこで試合終了なんだよ。わからなくてもお客さんがいる限り続けなきゃいけないんだ。マーケティングもそうだけど商売の基本だよね。
なるほど!今回の話をまとめると、アクセス数をむやみに増やすよりもお客さんのことを理解することが大切なんですね。
そう。アクセスより、高い確率で買ってくれるお客さんを見極めること。そうすれば、売上はもちろん利益率が何倍にもなるんだ。
今回も勉強になりました。自分の事業に活かしてみます!
そうだね、ひなたくん。その調子だよ。これからも頑張って学んでいこう!
1984年神奈川県足柄上郡生まれ。
大事なのは売上より利益です。脱・価格競争コンサルタントとして、できるだけ広告費を減らしながら売上を増やせる方法をお伝えしています。