今回は利益を守るための契約書のお話です。
トラブルが良く起こる会社やトラブルによって利益が減ってしまう方向けのトラブル回避のお話です。
みなさん契約書や発注書はしっかり作られていますか?
実は、契約書をしっかり作ればトラブルを回避して利益率を高めることができるんです。
今回はトラブルを回避するための契約書や発注書の作り方についてお話しします。
僕は色々な経営者と接する中で、つくづく思うことがあります。
それは「人それぞれ常識が違う」ということです。
例えば、「納品」という言葉がありますが、あるクライアントさんに仕様通りに作って公開したときに「クライアントさんの手に渡したからこれにて納品完了」だと思っていたら、クライアントさんは、クライアントさんが満足するところまで完成した時点が納品だと思っていたことです。
そのときは、「そんなバカな」って思いましたよ。
この話をアイスクリーム店に例えてみます。
お客さんにアイスを2つトッピングしてって注文されたので、注文通りに作ったら「イメージと違ったから追加でもう1つアイスを追加して」って言われるのと同じことを言われました。
ちょっとした衝撃です。
僕は、そんなことが通用するはずがないと思っていても、お客さんにとっては、いやいや思ったよりもアイスが小さかったからこの大きさで500円は詐欺でしょ。
みたいなことを言われるお客さんもいるということです。
しかも、このクライアントさんだけでなく、結構な割合でそうなるんです。
ビジネスの世界は常識で渡ってるとケガをするってことを学びました。
そのために契約書でしっかり認識合わせが必要だなって痛感してからトラブルが起きない契約書の作り方を勉強しましたね。
失敗事例:サイト構築の長期化で利益0に
僕が前職のときに実際にあったサイト構築の話です。
こちらは予めクライアントさんとすり合わせた仕様に従ってサイトを構築しました。
ところがクライアントさんは出来上がったサイトを見て、閃いてしまったらしく、「ここも追加してほしい」「ここも直してほしい」と、次から次へと要望が上がってきました。
そもそもどこまでが契約の内容なのか曖昧になっていたせいで、「本来の仕様から外れています」ということも言えずにいました。
結局、何か月も納品とは認めてもらえず、結局1.5倍の工数がかかって元々考えていた利益が大幅に削られてしまいました。
言葉の認識を合わせることがトラブル予防の第一歩
先ほどお伝えしたように、常識や感覚は人それぞれ違います。
つまりは言葉の定義がひとり一人違います。
そうならないように「納品」とは何なのか?
どこまで作ったら納品完了で、どこからが追加費用が発生するのか、といった言葉の認識を合わせておくことが大切です。
認識のズレがなければみんな幸せになれる
何が辛いかって言うと、お客さんのために一生懸命頑張っても、一度印象が悪くなってしまうと挽回はできないってことです。
「聞いてないよ」「そんなこと言ってない」といった、言った言わない問題に直面したことはないでしょうか?
一度信用を失うとそのあとがんばってもクライアントさんからは喜んでもらえないんです。
そうならないように、契約書でしっかりルールを決めて、契約書の言葉の一つひとつの認識合わせをすることがお互いのために必要だと思っています。
みんなが幸せになるか、不幸になるかは、契約前の認識合わせと契約書にかかっています。
契約書は現場の意見も反映して作ること
これも僕が前職のときに失敗事例です。
クライアントさんと小長谷の上司で同士が契約書を交わしたものの、契約書の内容が現場の動きにあっていないため、工数が全然足りずに、事業の進みが遅くなってしまったトラブルがありました。
「まあこんなものでしょ」と上層部同士が勝手に決めないで、現場の意見も聞いて契約書の内容を詰めることが大切です。
読み合わせをしない契約書は効果半減
僕が前職のときに、契約書のちょっとした言葉の捉え方の違い、両者の認識がズレることがありました。
契約書があれば完璧ということはないということです。
契約書にある言葉一つひとつの意味を認識を合わせる必要があります。
同じ日本語を使っているのにここまで言葉の解釈を詰めないとトラブルになるのかと、苦い経験をしてきました。
- 納品とは何なのか?
- この契約は成果を保証するものなのか?
- 工数というのは何が含まれるのか?打ち合わせ費用や相談にかかる時間や調査も含まれるのか?
- サイト保守というのはどこまでの範囲が保守なのか?新しいコンテンツを作るのは保守に含まれるのか?
こういったことを細かく説明して言葉の認識のズレがないようにしています。
ビジネスは信頼関係ですので、親しき仲でもちゃんとルールを設定しておきたいですね。
折角の友達でもトラブルが起きて縁が切れてしまうはとっても悲しいことです。
小長谷が実践していることの整理
- 契約前の見積書の段階から懸念事項を共有しておく
- クライアントさんの窓口担当者との会話も議事録として残しておく
- あらゆる懸念事項とリスクを想定しておく
- 突然かかってきた電話でも電話の内容を議事録にして相手に確認の意味で送っておく(日付が修正できないメールもしくはチャット)
- 打ち合わせ内容は議事録を残してクライアントの責任者が見えるチャットに共有する
- 契約書の内容を読み合わせをする
- 契約書の言葉の定義を合わせる
- 見積書は有効期限を記載しておく
- 発注書には必ずサインをいただき、両社で保管する
- どこまでは範囲でどこからが追加費用が発生するのか明確に言葉にして契約書に盛り込む
- 発注書と業務委託契約書の2枚を合わせて締結する
こういった対策をして、言った言わないを防いでみんなが幸せになれるプロジェクトを心がけています。
トラブルを予防することは無駄な工数を削減することはもちろん、精神的な負担を減らすことにもつながります。
余計なトラブルにかかるエネルギーをもっと前向きなことに使っていきたいですね。
まとめ
100万円の契約を取ってくることよりも100万円の案件のトラブルを起こさないほうが利益には効果があります。
それが利益を減らせないことに繋がっていきますし、会社の評判を落とさないことにもつながります。
皆さんが気を付けているトラブル回避方法があれば、教えてくださいね。
1984年神奈川県足柄上郡生まれ。
大事なのは売上より利益です。脱・価格競争コンサルタントとして、できるだけ広告費を減らしながら売上を増やせる方法をお伝えしています。